原状回復工事は、テナントが店舗や事務所を退去する際に必ずやらなければならない工事です。
しかも住宅の原状回復工事と異なり、店舗の原状回復工事は相場そのものが高く、家を引っ越すような感覚で考えていると、痛い目を見ることになります。
原状回復工事は新しいビジネスの投資になるわけでもなく、言葉を変えれば、実質的に「後片付け」でしかないので、できるだけ出費は抑えたいですよね。
ただし店舗や事務所を退去する際の原状回復工事は、確定申告に計上することができるんです!
すなわち経費扱いにできるので、その分、支払わなければならない所得税を減らせるということです。
今回は確定申告で所得税を削減するコツや、損をしないために知っておきたい手続きなどを紹介します。
■廃業するにもコストがかかる店舗経営、せめて原状回復工事は費用計上可能か?
まずは原状回復工事のおさらいをしておきましょう。
・原稿回復工事の費用を払うのは誰? どんな工事が発生する?
これまで借りていた店舗や事務所をクローズして退去する際に、誰が原状回復工事の費用を負担するかご存じですか?
それは建物を所有しているオーナーでも、次の入居契約が決まっている新しいテナントでもありません。
これまで建物を使っていたテナントなのです。
たとえば飲食店の場合・・・
- カウンターや客席の間仕切りなどの解体撤去
- 看板の取り外し
- 電気配線やガス管などの設備の修復
- 床・壁・天井は仕上げを剥がし、スケルトンの状態に
- 躯体に損傷や汚れがあればその修復
など、原状回復工事のポイントが一例としてこれだけございます。
・原稿回復工事の費用の相場はどのくらい?
原状回復費用は飲食店の場合、以下がおおよその相場と言われています。
30坪までの小規模店舗=約2万円/坪
31~50坪の中規模店舗=約3万円/坪
51坪以上の大規模店舗=約5万円/坪
ただし2023年11月執筆時点においては、建材費や人件費が高騰しているので、これよりも余分に見ていたほうが安心です。
・少しでも原状回復工事費の負担を減らすには?
ご紹介した数字はあくまで相場であり、店舗の構造などにより大きく変動する可能性もあります。
原状回復工事費をどれほど減らせるかは、依頼する工事業者や物件の状況によりますが、トータルで出費を抑える方法があります。
それは、退去時の原状回復工事費を確定申告で経費として計上することです。
商売をしていると、売上に対して決められた「所得税」を納税しなければなりません。
所得税は、その年の所得に対して課税されるものですが・・・
実際の課税対象 =
その年の年収 ― 必要経費 + 各種控除(基礎控除や社会保険料や医療費など)
そして原状回復工事は、「修繕費」という名目(勘定科目)で、上記で言うところの「必要経費」と認められます。
実際に計算をして確かめてみましょう。
例:その年の収入 1,500万円
諸経費 500万円
課税対象額が1,000万円ですと、控除額は約153万円
税率は33%(税率の割合については、下表参照)ですので・・・
(1,500万円 ― 500万円)× 税率0.33% ― 約153万円
= 約177万円
上記が、支払わなければならない所得税の計算式です。
しかしここに、仮に150万円の原状回復工事費を修繕費で経費計上したら、所得税はどのように変わるのでしょう。
まず、課税対象額が、1,500万円-(諸経費500万円+原状回復工事費150万円)=850万円と減額されます。
課税対象額が変わると、金額によっては税率も低くなり控除額も異なります。
今回の例では、
元々:税率0.33%
課税対象額 1,500万円 ― 500万円 = 1,000万円
→
原状回復工事を経費扱いにした場合:税率0.23%
(税率の割合については、下表参照)
課税対象額 1,500万円 ― 500万円 ― 150万円 = 850万円
つまり、計算式は下記の通りになります。
(1,500万円 ― 500万円 ― 150万円)×税率0.23% - 約63万円
=約132万円
このように原状回復工事費を経費として計上することで、所得税を削減することができるのです。
参考 所得税の速算表(国税庁HPより)
・敷金と原状回復工事費との関係は?
ちなみにテナント契約を結ぶと、入居前にオーナーに敷金を払うことになります。
原状回復工事費には、まずその敷金が充てられます。
敷金の範囲内に原状回復工事費が収まった場合:
→ 余った金額はテナントに返金されます。
敷金の範囲内に収まらない場合:
→ 追加でテナントが自己負担することになります。
原状回復工事費についてもっと詳しく知りたい方は、弊社の下記ブログもご覧ください!
「オフィスや事務所の原状回復工事の費用相場とは? コスト削減のポイントも解説します」
■コストを抑えてスムーズに原状回復工事をしたい! 良心的な工事会社の選び方とは?
もちろん所得税だけではなく、そもそもの原状回復工事費を抑えたい、という方もいらっしゃいますよね。
そのような場合は、良心的で経験豊富な原状回復工事会社に依頼すると安心です。
原状回復工事の内容は、造作物や仕上げ材の撤去・解体にはじまり、電気工事、修繕、クリーニング、産業廃棄物処理など多岐にわたります。
こうした一連の作業は、一括して同じ業者に依頼するのがベスト。
工事ごとに業者を雇うとそれぞれに支払う初期費用が高くなってしまいます。
また自社施工を行っている会社に依頼すること。
その会社が下請けに仕事を出していたら、中間マージンがかかってしまいます。
原状回復工事は通常の施工とは異なるので、経験豊富な業者に依頼しましょう。
見積もりも、内訳が明快で項目が細かく書かれていれば安心です。
原状回復工事についてもっと詳しく知りたい方は、弊社の下記ブログもご覧ください!
■【特に事業収益が大きかった方!要注意!!】廃業後の税金の支払いについて
テナントが退去する理由は、廃業や新店舗開店などさまざまな理由があると思いますが、廃業の場合は税金がらみで注意が必要です。
意外と見落としがちですが、所得税には翌年の支払い分の一部をあらかじめ納税するという「予定納税」という制度があります。
(※予定納税基準額が15万円以下の場合は免除)
予定納税は年に下記の2回行われます。
第1期:7月に基準額の3分の1の金額
第2期:11月にまた3分の1の金額
もちろん廃業後も高い所得がある仕事に就けたり、十分な蓄えがあったりする方にとっては問題がありません。
しかし、低所得で生活がギリギリなところ、容赦なく予定納税額がガッツリと引き落とされると、ただでさえ厳しい状況にさらに追い討ちをかけることになってしまいます。
こうした事態に陥らない方法が一つあります。
それは、廃業したら税務署に下記の届出をして、予定納税を回避すること。
「所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請書」を税務署に申請すれば、予定納税の減額は可能ですよ。
いずれにせよ廃業するのなら、蓄えはある程度残しておくことが大切です。
【まとめ】大きなトラブルなく、無事に廃業し、笑顔で次のステップに進むために!!
次のステップに笑顔で進むためには、できるだけ手元に多くお金を残しておくことが何よりです。
そのためにも、優良な業者に原状回復工事を依頼して工事費用を抑えたり、確定申告で原状回復工事費を費用計上して納税額を減らしたりなど、節税に努めるのがおすすめです。
株式会社はなまる建設は、原状回復工事に特化した会社で、あらゆる工事に対応しています。
電気工事や給湯工事・消防設備工事・内装工事・傷補修工事・ハウスクリーニングなど、全て自社でワンストップの施工を実施しているため、スピーディな対応が可能!
お客様のご希望をダイレクトに反映しやすい体制が整っています。
それぞれの資格を持ったスペシャリストによる、細部までこだわった施工が強みです。
また、原状回復工事を通じて資産価値を向上、維持させるための提案も可能です。
きめ細かな原状回復工事によって、清潔感のある空間に戻すことができるため、次の入居者が決まりやすく、入居者募集の広告宣伝費や空き物件の維持費などのランニングコストを抑えられるよう、丁寧に施工いたします。
埼玉県、東京都、神奈川県、千葉県でテナント移転やお引越しをご検討されている借主様、原状回復工事の依頼先を検討されているオーナー様や不動産会社様は、お気軽にはなまる建設までご相談ください。
下記、はなまる建設で請け負った原状回復工事の事例集になります。
もしよろしければ一度、お目通しいただけますと幸いです。
はなまる建設の原状回復工事について、より詳しく知りたい方は下記のページもご参照ください。